こんにちは、タイム所長です。
本記事では、”大画面ディスプレイ・多画面ディスプレイの導入による業務効率化の測定”情報処理学会論文誌50号 No.3 1204 – 1213(Mar. 2009)を参考にデュアルモニターが業務効率化に良い選択であることを解説します。
私は、自分が所属する会社で部署全員にデュアルモニターを導入を所属長を説得する時に、このデータをもとに費用対効果を示して部署全員にモニターを購入する決済を承認してもらいました。
比較前提
本研究では3つモニターの条件で比較しています。また被験者の方は知的財産管理業務に従事されてる方で普段からPC操作は慣れている前提になっています。8人中5人がSmall条件⇒Large条件、3人がSmall条件⇒Dual条件に変更して評価実施。
- Small条件:17インチモニター1つ
- Large条件:24インチモニター1つ
- Dual条件:17インチモニターを並列に2つ
研究の内容
操作時間の比較
被験者がPCを使用している時間のうち、ウィンドウの切り替え、移動、サイズ変更に費やした時間の割合はsmall条件ベースでPC操作全体の8.5%以下の通りです:
- Small条件: Base
- Large条件: わずかに増加(Small条件より21.5秒多い)
- Dual条件: 13.5%削減
この結果から、Large条件ではディスプレイが大きくなったにもかかわらず、ウィンドウ操作の効率は向上しませんでした。一方、Dual条件ではウィンドウ操作に伴う負担が大幅に軽減されました。
操作回数の変化
操作回数では以下の特徴が見られます:
- Activate(ウィンドウの切り替え): Dual条件で17.5%減少。
- Move(ウィンドウの移動): Large条件で66.4%増加。
- Resize(ウィンドウのサイズ変更): Dual条件で25.5%減少。
特に、Large条件ではウィンドウの移動が増加しました。これは、広い画面を活用しようとするあまり手動で配置調整を行う必要が増えたためと考えられます。一方、Dual条件ではディスプレイ間の分割によりウィンドウの自動的な配置が可能であり、操作が簡略化されました。
対象者の感想ベースの比較
アンケートによる主観評価では、業務効率化と快適さに関する評価が以下のように分かれました:
- Large条件: 「効率化された」との回答が一定数あったものの、「ウィンドウの位置調整が面倒」との意見も見られました。
- Dual条件: 「複数ウィンドウの同時閲覧が容易」「ウィンドウの移動・サイズ変更が減った」など、全体的に高評価。
被験者の自由記述でも、Dual条件における一覧性の向上や操作負担の軽減が強調されており、ログデータの分析結果と一致している点が注目されます。
論文のまとめ
Dual条件は、以下の理由からLarge条件よりも優れているといえます:
- 操作コスト削減: ウィンドウ操作時間が13.5%削減され、操作回数も減少。
- 自動配置の利便性: ディスプレイ間の分割により、手動操作の手間が軽減。
- 主観的評価の高さ: 業務効率化と快適さの観点で被験者から高い評価。
特に、複数のウィンドウを頻繁に使用する業務では、Dual条件の方が作業環境として適していることが明確です。本研究は、ディスプレイ環境の選択が業務効率に与える影響を示す重要な示唆を提供しています。
まとめ
今回は、事務作業をPCで実施する方の比較でした。仕事内容によっては大画面で1つの方がよい方もいると思いますが、通常の事務作業をする場合ではデュアルモニターが圧倒的に効率的ということが明らかです。
私が上司に提案した時は、業務時間の8.5%(ウィンドウズ操作時間)が13.5%減少したら労務費がいくら削減するかを計算してモニター値段と比較しました。その結果、2カ月目には投資回収できる結果になりました。もし、皆様が仕事場でモニターを導入したい時は参考にしてみてください。